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スクリーン~永遠の序幕~解説
できるだけ詳細に書いていきますので順を追って確認してみてください。
※注意
※今記事、次記事ともにネタバレを含んでいます。
難しく感じ始める箇所
「P225 真実が生んだもの」以降となります。
ここまでは気楽に読んで良いでしょう。しかし、これ自体が一つの仕掛けとなります。
難しく感じる理由①(解釈レベルの変化)
物語としてP224までは小学生~中学生で十分理解できる内容です。
しかし、P225から突然中学3年レベルの内容となります。
更にはP264のプロローグ2からは高校生レベルまで上がるかもしれません。
この解釈レベルの変化が混乱を招く要因と考えます。
「おいおい、理解できなかった自分は高校生以下の知能しかないのか?」と怒らないでください。
マジックみたいなものです。
最初から同レベルにて記載されていた場合、恐らく誰もが分かるはずです。
更には、プロローグ2が理解できなくても小説としては十分楽しめる作品です。つまり、ここにも秘められたトリックがあるのです。
難しく感じる理由②(謎解きの重ね)
謎解きが幾重にもかかっています。
P224までに判明したこと
親友である亮が蒼斗を狙っていた。
このインパクトが残る読者が多いと思います。この先はこの内容を前提に読み進めると分かにりくくなります。
要は、親友である亮は最後の最後まで親友だったのです。
P225以降
分かりにくくなる要素の一つとして、兄の博人と同じ論理が異なる展開で使われていることにあります。
博人は蒼斗を救うために、蒼斗を誤認逮捕させました。
同様、亮は自分の親である山崎と蒼斗を救うために蒼斗を狙ったのです。
難しく感じる理由③(用語)
・山崎HYC
会社名であるもののHYCに意味をなしていません。
・KTR(※1)
国家犯罪撲滅AIですがKTRという言葉には意味をなしていません。
国家犯罪撲滅AIとは国家が作った犯罪撲滅AIであり、国家犯罪ではないです。
※1 KTRは重要な存在であるため大混乱を引き起こす要素の一つになります(後で解説)
・TEIYA設計
山崎正樹が開発したという装置。
この装置を作ったことで山崎の会社は国に潰されそうになります。
このTEIYAという言葉に意味をなしていません。
このように、山田健太郎先生のスクリーンには造語が多発します。
意味をなしていないキーワードを固有名詞として出すため、理解を妨げる要素になります。しかし、KTRは物語の全てでもあります。
ミステリー小説+α
拾うべきものと拾わないべきものを並列しているため、難しく感じていまいます。この物語はミステリー小説でありながら山田健太郎先生のメッセージが詰め込まれているのです。
これによりネット社会の危険性を表現していて「取捨選択を間違えてはいけない」という山田健太郎先生の訴えが含まれております。
紛らわしいと思うかもしれませんが、プロローグ2を理解するためには「今」「現在」を疑うということが重要になります。
難しく感じる理由④(物語構成)
目次が非常に少ないことに気づいたでしょうか?
登場人物・・・・・・・・・・・・4
プロローグ1・・・・・・・・・・16
スクリーン~永遠の序幕~・・・・10
プロローグ2・・・・・・・・・・264
と、たったの4つ。
「プロローグ1」と「スクリーン~永遠の序幕~」は現実世界ではなく蒼斗が作った仮想空間の話(2024回目のシミュレーション)です。
ここでは我々の世界がまるでシミュレーションであるかのように、2024回目のシミュレーションと描かれています。
そのためプロローグ2は現実世界の話(※2)・・・と解釈してしまいがちですが、これは間違いです。
プロローグ2の説明
「プロローグ2」でさえも現実世界の話ではありません。
どこかに現実世界があり、その現実世界で作られた仮想空間の世界が「プロローグ2」の世界となります。
構成補足
「プロローグ2」の世界に蒼斗や有希が登場に直弥の名前などが出てきます。これより、蒼斗の作った仮想空間(プロローグ1や本文)は自分の世界(プロローグ2)をモチーフに仮想空間を作っていることが分かります。
少し長くなりましたので、次の記事に続きを書きます。